(10週目)明け方の腹痛
6週目の記事で書いたとおり、何が無理か分からないのは相当ストレスだった。
私はお腹にチクチクした痛みを感じることが結構な頻度であったので、8週目の診察時、お医者さんにどういう痛みがOKで、どこからがまずいのかを聞いてみた。
お医者さんは「歩けるレベルなら全然問題ないですよ。お腹を抱え込んで、イタタタタ~としゃがみこんでしまうような痛みは、来院してください」と答えた。
さて、10週目のある明け方のこと。
お腹に激しい痛みを感じた。ギューと掴まれているような感じで、身動きができない。
寝返りすらできない。ただひたすら痛みに耐える、そんな状態が15分ほど続いた。
気がついたら痛みは治まっていて、私は二度寝していた。
起床時間に起きて、いつものとおり出社準備。今朝方の現象のことは努めて忘れるようにして、平常心で通勤電車に乗った。
しかし、頭が冴えていくにつれて、どんどん不安になってきた。
(あれは、お腹を抱えてイタタタというレベルの痛みだったな。赤ちゃんからのSOSだったらどうしよう…)
しかも間が悪いことに、今日はいつものクリニックの休診日だ。電車の中で私は涙目になっていた。
その時思い出したのが、順天堂大学病院。
8週目の診察で分娩予約を済ませていたので、診察券はすでに手元にあった*1。これだ。
電車を降りてすぐ、順天堂大学病院に電話した。事情を説明し、「今も痛みますか?」「いいえ」「出血していますか?」「いいえ」といったやり取りのあと、午後に診てもらえることになった。ありがたい。
とりあえず出社し、突発的に調子が悪くなったので午後休を取りたい旨を上司に伝えた。
上司はあまり深く追及することなく了承してくれた。
午後は打ち合わせの予定が入っていたが、キャンセル。心ここに在らずの状態だったので、午前中の仕事のことは全く覚えていない。
昼休みのチャイムとともにオフィスを出てタクシーに飛び乗った。
こうしてすったもんだの末に、午後、無事に診察を受けることができた。
結果は「問題なし」。
エコーの画面に見える赤ちゃんは、力強く心臓を動かしながら、小さい手のようなものをフワフワと動かしていた。
(良かった、生きてる!!しかも、手が生えてる!!)
そうなのだ。この時初めて、私は自分のお腹のなかに人間の姿を見た。
前回8週に見たときは楕円形の黒い影しか分からなかったのに、今回の赤ちゃんは既に頭と体の区別ができていて、まさしくヒト。(ちなみに、二頭身のキャラクターみたいで、とってもかわいかった。)赤ちゃんの元気な姿を見る事ができて、心から安心した。
お医者さんに曰く、腹痛の原因は子宮の拡張によるものだろうとのこと。
原因も分かって、ますます安心した。
予期せぬお金と時間というコストはかかったけれど、本当に来てよかった。
妊娠する前は、産まれるまで10ヶ月間はそれまでと変わらずに働けるものだと楽観的に思っていた。しかし、実際は全然違った。
つわりがあまり酷く無かった私ですら、眠かったりだるかったりで、活力が3割ぐらい減った。その上、この日の私のように、突発的に休むこともあり得る。
今までのように、平日は5日フルに出勤して場合によっては残業をして、といった働き方はとてもできなくなった。
赤ちゃんが心配な気持ちと、思うように仕事ができないことに対する焦りや罪悪感で、このころの私の精神状態はあまり良くは無かった。
業務面で上司や同僚が支えてくれなかったら、大変なことになっていたと思う。
いつか後輩や部下が妊娠したら、私の上司や同僚がそうしてくれたように、寛大な気持ちで彼女をサポートしたいと思う。